終活という言葉を耳にする機会が増えましたが「まだ自分には早い」と感じる方も少なくありません。しかし、終活は老後への備えだけでなく、これからの人生を安心して過ごすための整理でもあります。本記事では、終活を始めるきっかけや基本的な準備、進める際に大切にしたい考え方についてわかりやすく紹介します。
終活はいつから始める?無理なく始めるきっかけ
終活は早めに準備することで、安心した暮らしにつながります。ここでは、終活を始めるきっかけになりやすいタイミングを紹介しながら、自分らしい人生を送るための考え方を見ていきましょう。新たな生活の節目を迎えたタイミング
多くの人にとって、定年退職は人生の大きな節目であり、生活環境が大きく変わる時期です。このタイミングで終活を始めると、自分の希望を整理しやすくなるというメリットがあります。新しい人生設計の一環として終活を取り入れることで、これからの暮らしへの不安を減らし、前向きに過ごせるようになるでしょう。
家族構成が変わったときは将来を考える
子どもの独立や夫婦二人だけの生活への変化、または孫の誕生など、家庭環境が変わると将来について考える機会が増えます。このようなタイミングで終活を始めることは自然な流れといえます。また、夫婦間で価値観の違いが表れやすい問題も増えるため、この時期に今後の生活方針について話し合っておくことが重要です。
身近な人の死をきっかけに自分の人生を見直す
親族や友人の死を経験すると、自分もいつか最期を迎えるという現実を意識することがあります。この経験から「家族に同じ思いをさせたくない」と考え、終活を始める人が増えています。終活は「死」を考えることではなく、残りの人生を安心して暮らすための準備です。身近な人の経験を教訓にしながら、自分に必要な備えを少しずつ進めていくことが大切です。
健康の変化を感じたら備えを考えるタイミング
年齢を重ねると、健康診断の結果や体力の低下をきっかけに将来への不安を感じることがあります。このタイミングで終活を始めると、自分が望む医療や介護の方針を明確にしておくことができ、家族の負担を軽くすることにもつながります。また、健康なうちに財産管理や身の回りの整理を進めておけば、判断能力が低下してから慌てることなく過ごせるでしょう。
終活のやることリスト|今日から始められる基本の準備
終活とは「人生の締めくくりの準備」だけでなく、これからの時間を自分らしく生きるための前向きな整理でもあります。何から始めればよいか迷っている方のために、まず取り組みたい基本の準備を紹介します。これからの人生の希望を整理する
終活の最初のステップは、これからの人生で大切にしたいことを整理することです。老後にやりたいことや挑戦したいこと、望む暮らしをリスト化してみましょう。旅行を楽しみたい、趣味を続けたい、健康に気をつけた生活を送りたい…どんな内容でも構いません。また、暮らし方の希望も考えることが大切です。
自宅での生活を続けたいのか、将来は介護サービスを利用するのかなど、今から考えておくと準備すべきことが見えてきます。この段階で希望を整理しておくことで、終活の目的が明確になり、次のステップに進みやすくなります。
自分の想いをノートにまとめる
エンディングノートは、自分の気持ちや希望を家族に伝えるための大切なツールです。遺言書とは異なり、決まった形式はなく自由に書けます。家族へのメッセージや医療・介護の希望、連絡先、保険や年金の情報など、内容は多岐にわたります。普段は話しにくい内容もノートに書くことでしっかり残せます。
書き始めは難しく感じるかもしれませんが、一度に完成させる必要はありません。思いついたときに少しずつ書き足していくことで、自分の情報や想いを自然に整理できます。
持ち物を見直して生活を整える
身の回りの整理は、快適な生活につながる大切な作業です。長年の生活で物が増え、どこに何があるのか分からなくなることがあります。必要なものとそうでないものを整理し、普段使うものを中心に整えましょう。思い出の品はすぐに捨てず、写真に残したり保管方法を工夫したりすることで、大切にしながら整理できます。
身の回りが整うと心にも余裕が生まれ、今後の暮らしを前向きに考えるきっかけになります。
大切な人の連絡先をまとめておく
交友関係の整理も、家族や周囲の人にとって役立つ準備です。親しい友人やお世話になっている人の連絡先をまとめておくと、いざというときにスムーズに連絡できます。年賀状だけのやり取りになっている知人や長く会っていない友人の連絡先も確認しておくと安心です。このリストはエンディングノートに記載しておくと管理しやすく、家族の負担を減らすことにもつながります。
お金や財産の状況を確認する
資産の整理は終活で重要な項目です。通帳や証券、保険の書類を自分でも管理できていない人は少なくありません。まずは、自分が持っている資産を把握することから始めましょう。銀行口座、証券、保険、不動産などに分けて一覧表を作ると分かりやすくなります。
資産を見直すことで、将来の生活設計を考えるきっかけにもなり、無理のない老後資金の使い方が見えてきます。
将来の医療や介護の希望を整理する
年齢を重ねると、病気やケガで入院したり、介護が必要になったりする可能性があります。後悔しないために、自分が望む医療や介護の形を考えておきましょう。延命治療の希望、自宅療養の希望、介護サービスで受けたい支援などを整理します。これらの希望は家族と話し合って共有しておくと、いざというときに意思が伝わりやすくなります。
最期の迎え方について考える
葬儀の形式やお墓のことも、生前に考えておくことが大切です。葬儀には一般的な形式のほかに、家族葬などさまざまな方法があります。希望を決めておくことで、家族の負担を減らし、自分らしい最期を迎えやすくなります。迷う場合は、まず「どこで供養されたいか」「どんな葬送方法を望むか」を紙に書き出してみると整理しやすくなります。
スマホやネットの情報を整理する
スマホやパソコン、ネット上に残る情報も整理しておくことが重要です。メールアカウントやSNS、ネット銀行、サブスクリプションサービスなどは、IDやパスワードが分からないと管理できません。大切な写真や文書のデータも一覧表にまとめ、安全な場所に保管しておくと安心です。
自分の意思を正式に残す準備をする
遺言書は、自分が亡くなった後に財産をどう分けるかを伝えるための大切な書類です。口頭では法的効力がないため、正式な遺言書として残すことが必要です。「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、状況に合った方法を選べます。とくに家族間のトラブルを防ぎたい場合や相続の希望を確実に残したい場合は、公証役場で作成する公正証書遺言がおすすめです。
遺言書を準備することで、自分の意思を確実に伝え、家族も安心して手続きを進められます。
もしものときに備える契約を整える
身寄りが少ない人や家族が遠方にいる人にとって、老後の生活や万が一の手続きを支える仕組みを整えておくことは重要です。たとえば、成年後見制度を利用すれば、判断力が低下したときに財産管理や契約手続きを支援してもらえます。また、死後事務委任契約を結んでおくと、葬儀の手配や役所の手続きなど、自分が亡くなった後に必要な事務を信頼できる人に依頼できます。さらに、身元保証サービスを利用すれば、入院や施設入居の際に必要な身元保証人を確保することができます。
これらの契約や制度を準備しておくことで、将来の不安を減らし、最後まで自分らしい生活を安心して続けることにつながります。
終活で大切にしたい考え方
終活は、何から始めればよいか分からず、不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、終活を進めるうえで知っておきたい大切なポイントをご紹介します。自分のペースで進めつつ家族との話し合いを忘れない
終活は急いで一気に進める必要はありません。できることから少しずつ取り組むことが理想です。無理なく続けられる範囲で進めることが、長く続けるコツです。また、自分の希望を整理するだけでなく、家族と話し合いながら進めることも重要です。医療や介護、財産の管理など、家族が関わる内容はとくに共有しておくと、将来のトラブルを防ぐことにつながります。
終活はひとりで行う作業ではなく、家族とのコミュニケーションの機会としても活用できます。
状況に合わせて内容を見直す習慣を持つ
エンディングノートや希望の整理は、一度作ったら終わりではありません。生活環境や健康状態、家族構成の変化に応じて、考え方も変わるのは自然なことです。そのため、終活の内容は定期的に見直すことが大切です。たとえば、年に一度ノートや書類を読み返し、今の自分の考えと合っているかを確認すると安心です。
終活は未来の不安を減らすためのもの。柔軟にアップデートしながら進めていきましょう。
身寄りがない人は支援サービスを活用する
終活は、家族がいない人や子どもに負担をかけたくない人にとってとくに重要です。入院や介護施設への入居、葬儀の手続きなど、家族の支えが必要になる場面は多くあります。しかし、身寄りがない場合や遠方の家族に頼りにくい場合でも、安心して準備を進められる方法があります。それが、身元保証会社の利用です。
入院時の保証人手続きや死後の事務手続き、葬儀の手配などをサポートしてくれるため、一人暮らしの方にとって心強い存在となります。公的制度だけでは補えない部分を支えてくれるため、不安を感じている方は早めに相談すると安心です。