急な病気やケガで入院や手術が必要になったとき、多くの病院で「保証人が必要です」と言われます。しかし、身寄りがいない人や頼れる人がいない場合、どうすればよいのか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。本記事では、病院が保証人を求める理由や保証人がいない場合の解決方法までわかりやすく紹介します。
入院や手術で保証人が必要とされる本当の理由
病院へ入院する際、多くの場合「保証人」の記入を求められます。ここでは、病院側が保証人を求める主な理由と、その役割について紹介します。緊急時に連絡が取れる人を確保するため
入院中は急な病状変化や容態悪化が起こることがあります。その際に病院が誰にも連絡できない状況は非常に困るのです。そこで、常に連絡が取れる緊急連絡先として保証人を指定することで、医師の説明や治療方針の確認が必要な場面でもスムーズに対応できる体制を整えています。
治療内容の説明や同意のやり取りを行うため
病院は入院診療計画書を作成し、患者に治療内容を説明する義務があります。しかし、患者本人が説明を理解できない状況になることもあるため、その際は家族などの保証人に説明を行います。治療内容の確認や医療方針の同意を得る場面でも保証人の存在は重要となるのです。
身の回りの支援や遺品の引き取りを行うため
入院生活には生活用品の準備が必要になりますが、家族がいない場合は保証人がサポートを求められることが多いです。また、万が一入院中に患者が亡くなった場合、遺体や遺品を引き取る人が必要となります。その役割も保証人が担うため、病院は保証人を確認しています。
退院後の行き先や手続きを進めるため
治療後はすぐに自宅に戻れないケースも多く、リハビリ専門病院や介護施設へ転院することがあります。その際に必要な手続きや相談を進めるためにも保証人が必要とされます。病院の地域連携や退院支援を円滑に進めるため、保証人の協力は欠かせません。
入院費用の支払いに関する保証をするため
患者の状況によっては入院費用の支払いが遅れたり、滞納が発生することがあります。病院の運営には安定した費用の回収が欠かせないため、患者が支払いできない場合に備えて保証人に費用の支払いを求めるケースがあります。保証人は金銭的な責任を負う重要な存在ともなるのです。
保証人がいなくても入院できる？
入院の手続きで「保証人がいないと入院できません」と言われるのではないかと不安に感じている方は少なくありません。ここでは、保証人がいない場合の入院について紹介します。法律上は保証人がいなくても入院できる
医師法には「医師は正当な理由がなければ診療を拒んではならない」と明記されています。保証人がいないことは「正当な理由」には当たらないため、病院は保証人がいないことを理由に入院を断ってはいけないとされています。実際、急病や事故など、緊急の場合に保証人を探している時間はありません。そのため、法律上は保証人がいなくても入院は可能とされています。
とはいえ、現場ではトラブル防止や連絡先確保のため、病院が保証人を求めるケースが多いのが実情です。
保証人がいないと手続きが遅れることがある
法律上は入院を断られないとしても、保証人がいない場合は入院手続きに時間がかかることがあります。病院としては、緊急連絡先や支払い面の確認、退院後の対応などを事前に整理しておく必要があるため、通常と異なる手続きが必要になります。そのため、緊急性が低い診療では手続きに時間がかかることもあり、実質的な入院のハードルが上がってしまうのが現状です。スムーズな入院のためには事前準備が重要になります。
入院・手術時に保証人がいない！安心して手続きするための方法
実際、ほとんどの病院が保証人を求めているのは事実です。ここでは、保証人を用意できない場合にどのように対応すればよいのか、その具体的な方法を紹介します。保証人を求めない病院を探すという方法もある
ごく一部ではありますが、入院時に保証人を必要としない病院もあります。総務省の調査によると、9割以上の病院が入院時に保証人を求めていますが、中には手続きの簡素化を進めている病院もあります。ただし、保証人不要とはいえ、緊急連絡先の提出など別の対応を求められることもあるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
入院時保証金を支払うことで対応できる場合がある
一部の病院では「保証人の代わりに入院保証金を支払う」ことで入院手続きを進められる場合があります。入院保証金とは、入院費の未払いを防ぐために前もって支払う預かり金のようなもので、相場はおよそ5万円から20万円です。ただし、入院保証金を支払っても保証人が必要な病院もあります。病院によって対応は異なるため、事前に「保証金を支払えば保証人は不要かどうか」を必ず確認することが重要です。
身元保証サービスを利用するという選択肢
保証人を確保できない場合、身元保証会社が提供する「身元保証サービス」を利用する方法があります。このサービスは、専門の会社が保証人の役割を代わりに担ってくれるもので、医療機関と提携しているケースも多いです。ただし、身元保証会社にはサービス内容や信頼性に大きな差があります。病院から紹介された会社だからといってすぐに契約するのではなく、料金や対応内容、会社の信頼性などを自分で確認し、納得した上で契約することが大切です。
